私が医師という職業を選んだ最大の理由は父の影響です。
病理学(顕微鏡などで病気を診断する)の医師である父の部屋には、大きな顕微鏡と分厚い洋書がたくさん並んでいました。幼い頃、「お父さん、キャッチボールしよう!」と父の部屋に誘いに行くと、いつも研究(勉強)していました。私の大学受験前ですら私より遅くまで父の書斎の電気がついていたこともしばしばでした。「医者って大変やね」と声をかけた時「こんな不思議な病気があって調べているんだ。もっと解明できれば治療できるかも。そしたらノーベル賞や!」と楽しそうに答えてくれたことが今でも深く心に残っています。何かの目標に向かってコツコツ努力することの大切さを黙って教えてくれました。
高校2年生の頃でしょうか、どこの大学のどこの学部を受験するのか決めなければならない時期が来ました。“人が喜んでくれる仕事”って何だろう?と考えました。直接目の前で喜んでくれる方がいいな、と。寿司職人、外国航路の船長、旅行会社のツアー添乗員など浮かんでは消えていきました。結局、父の後ろ姿を見て育った私の答えは、人が喜んでくれる究極のサービス業は医者しかない!でした。この思い込みと目標に向かって日々コツコツ努力する大切さが私の医師としての礎となっております。
年を重ねるごとに、人と人との出会いには何か意味がある(そう考えた方が人生は楽しい)と思うようになりました。家族、友達、仕事や趣味のつながり、行きつけの店、色んな人との触れ合いのなかで影響を受けてきました。影響の受け方も大・小、プラス・マイナス多種多様です。会っている時間の長さ、会っている回数に関係なく影響を受けてしまうものです。もちろん、誰かに影響を与えていることもあるでしょう。その一つ一つに意味があると。
当院を開院するにあたって、私の環境は大きく変わり始めています。既に新たな多くの出会いがあり、開院まで辿り着くことができました。ご支援いただいた関係者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。この出会いを大切に続けていきたいと思います。新しいクリニックのスタッフとのご縁は、まだスタートしたばかりです。これからも良い関係を築きながらクリニックが一丸となり、患者さんとの新しい出会いがお互いに良い意味をもつように努めてまいります。
人とのご縁やつながりを大切にしたいという気持ちは“おはな泌尿器クリニック“という名前にも表しています。“OHANA“にはハワイ語で「家族」という意味があります。
スタッフ全員が家族のように信頼し、患者さんを家族のようにケアできたらいいな。と考えて名前を付けました。
ハワイ語でもう一つよく耳にする言葉に“ALOHA”があります。「ようこそ」、「さようなら」、「愛しています」などたくさんの意味を持つそうです。
2021年のAGORAという雑誌にこんな記事が載っていました。すごく印象に残って、何かあると思い出していました。これからも人として、医師として大切にしていきたいです。
A akahai(アカハイ):思いやり、やさしさ「やさしさを持って感じ考える」
L lokahi(ローカヒ):調和、ハーモニー「調和の中にしっかりと立つ」
O ‘olu’olu(オルオル):心地よさ「感情と共に思考のバランスをとる」
H ha’aha’a(ハアハア):謙虚さ「謙虚さを示し謙虚である」
A ahonui(アホヌイ):忍耐強さ「自立を学ぶ忍耐強さを持つ」
スタッフが一丸となってA L O H Aの5つを基に千里山にご縁とつながりがひろがる場所を築きたいという希望と覚悟を持って“おはな泌尿器クリニック”を始めさせていただきます。
宜しくお願い申し上げます。
おはな泌尿器クリニック
院長花井 禎